米栽培と点滴潅水 – 米栽培における点滴潅水導入が、いよいよ商用段階へ
ネタフィムはサステナブルライスプラットフォーム(SRP)やメドウォータライス機構とともに、持続可能な稲作の導入を推進します。
ネタフィムは 精密潅水技術のグローバルリーダーとして、従来の水田への湛水に代わる栽培方法の展開を行っています。世界各地で行われた検証実験では、水・土地・労働力・肥料を適正に利用し、米が栽培される際に発生する温室効果ガス(メタンガス)の排出量を削減しながら、生産量を上げ、健康で健全な米づくりをするには、点滴潅水が有効である事が実証されています。
米は多くの人々にとって無くてはならない主食です。世界の人口の半分以上が、1日のカロリーの20%以上を米に頼っています。しかし、米の生産には世界の灌漑用水の3分の1以上が使用され、栽培によって排出されるメタンガスは世界で排出される量の最大10%を占めています。 ネタフィムの持続可能な米の生産への取り組みは、「Grow more with less™️(より少ない資源で、より多くの成長を)」というミッションの一環です。試験で報告された結果は以下をご覧ください。
- 水と肥料の削減:蒸発散量、地表流出、地下浸透の減少により、水を70%、肥料を30%節約することができました。
- 収益と収量の向上:水田から点滴潅水に切り替えることで、他の作物との輪作が可能になります。インドでは、作付けサイクルの増加により、農家の年間収益が60%向上したという調査結果が出ています。
- より健康な米とより少ない有害物質:通常、米粒に微量含まれている高濃度ヒ素ですが、点滴潅水によって濃度を0.1ppbから0.01ppb*へと90%削減することができました。
- 作業環境の改善:水田での洪水による潅水では、耕作やならし、水を抜いたり張ったりするのに大変な労力を必要としますが、点滴潅水では土地の準備が迅速に行え、生産者の労働条件も改善されます。
ネタフィムは、サステナブルな米の生産を目指す一環として、地中海沿岸の19カ国で活動する大学、研究所、民間企業からなるコンソーシアム事業体「メドウォータライス」に参加しています。この事業体は、従来の水田以外での稲作を拡大し、増大する需要に対応するため、潅水方法の持続可能性に重きをおいて対策を検討しています。
同時に、国連環境計画が主催し100以上の機関メンバーからなるグローバルなマルチステークホルダー機構である「サステナブルプラットフォーム(SRP)」のメンバーでもあります。SRPは、農園やバリューチェーン全体で資源効率と気候変動への耐性および世界の米生産分野の変革を目指しています。さらに、世界で初めて米のサステナブルな生産基準と指標を策定し、そのインセンティブ・メカニズムとアウトリーチ・メカニズムにより、小規模農家における気候変動に対応した持続可能な対策の導入を促進しています。
ネタフィムCEOであるガブリエル・ミオドブニク氏は次のように述べています。「ネタフィムは、よりサステナブルな世界の食糧システムを支援するという使命のもと、革新を続けています。当社の実用段階となった米に向けた点滴潅水システムは、現在、トルコ、インド、ギリシャ、イタリアで1,000ヘクタール以上栽培されています。このような実証済みの成功をもとに、新たなパートナーや提携先の協力を得て、世界中のより多くの農家に点滴潅水による米作りを奨励していきたいと考えています」
SRPエグゼクティブ・ディレクターのウィン・エリスは、「ネタフィムをSRPのメンバーとして迎えることができ、嬉しく思います。主要な米生産地域では、水不足がますます深刻化していることを考えると、ネタフィムが豊富な専門知識を持っている点滴潅水のような技術革新を歓迎します。実りあるコラボレーションを期待しています」と述べています。
Covid-19は、地域社会の自立を保証する方法として、食料安全保障と地域の生産性が必要であることを改めて強調したと言えます。これは、より効率的でスムーズな栽培技術によってこそ、達成されることです。
*ppb:濃度を表す単位。Parts per billionの略で、10億分の1(0,0000001%)の数値を表す。